道東ツーリング  9月20日(火) 晴れ一時雨

出発地 羅臼町立林間キャンプ場
到着地 羅臼町立林間キャンプ場
走行距離  161km


夜半でどうにか強風も収まり無事に朝を迎えた。
テントを出たらあちこちに鹿がいるのかなと思ったが、残念ながら姿は見えない。
テントを張った場所はキャンプ場で唯一海が見える場所だが、夜明けの海の向こうに国後島の姿が本当に間近に見える。
正直こんなに近いとは思わなかった。
国後の島影の向こうから朝日が昇ろうとしている。
急いでカメラを取り出し素晴らしいショータイムを楽しむ。
西の空にはまだ残る夜明けの月が輝いている。
たなびく雲が黄金色に輝く。
そして雲の合間から幾筋もの光がこぼれる。
キャンプ場住人?のおじさんもカメラを持って写真を撮りまくっている。
「こんな風に見えるのは一年に何度も無いよ」とちょっと興奮気味に話している。
たった一晩の宿泊で見られるなんて、なんてラッキーだろう。
昨日途中でめげずに羅臼まで来て良かった。
ふとキャンプ場を振り返るとトイレの前に鹿を発見。
静かに近づくと親子の鹿が一生懸命食事中。
草を一心不乱に食べている。
朝から素敵なものを立て続けに見られて最高の朝だ。

おじさんの話だと昨夜の風は羅臼おろしと呼ばれ、時には木が倒されるほどの突風が吹きぬけるらしい。
テントを張った場所はちょうど風が吹き抜ける場所で、そうと知っていれば別の場所を選んでいただろうが
「良い場所だって言って悪かったね」とおじさんも謝ってくれたが、無事に一夜を過ごせたし、素敵な朝を迎えたの
だから問題無しです。
大阪ナンバーの青年は早々に撤収準備を済ませ7時前には旅立っていった。
今日は相泊に行ってから南下し開陽台に泊まる予定らしい。
記念写真を撮って出発を見送ると、のんびりと朝食を済ます。

本日は知床遊覧船で岬を海から眺める予定。
大型の遊覧船が6000円、小型のクルーザーは8000円だが、クルーザーのほうが岸により接近するので、高くても
クルーザーに乗るつもりだ。
ウトロ港から10:00出船、知床峠を越えて9時過ぎにウトロ側に行けば良いのでキャンプ場の出発は8時過ぎでも余裕だ。
青空も広がり写真を撮るにも最高な天気だ。
テントは張ったまま軽装備で出発。

一晩のキャンプ仲間 駐車場の奥が正規のサイト

知床横断道路は最高だった。
緩やかなカーブの連続で豊かな緑と青い空、振り返ると国後の長大な島影。
じっくりと写真を撮りたいポイントばかりだが、船の時間もあるし帰りもまた通るので一気に走りぬける。
峠付近はさすがに肌寒い。
峠を越えてウトロに下って行くと急に風が強くなってきた。
世界自然遺産に指定された影響で平日なのに観光バスが多い。
知床自然センターの駐車場はすでに車がいっぱいだ。
ウトロ市街はホテルが立ち並び、いかにも観光地らしい風情で羅臼に比べるとかなり雰囲気が違う。
土産物屋が並ぶ港までの道に遊覧船の案内所があるのだが、その店頭の看板は

「本日強風のため欠航」

ショックではあるが伊豆七島通いで船の欠航は当然ありうることと認識しているので、すぐに気持ちを切り替えた。
羅臼に連泊して船は明日乗ろう。
今日は一日知床半島をじっくりと見て周ることにした。
まずはオシンコシンの滝。
国道際の駐車場は大型の観光バスが7,8台停まり乗用車も併せて駐車場はいっぱい。
団体客がぞろぞろと滝へ歩いていく。
ちょっとげんなりしたが、国道からでも滝の姿が見える。
短い階段を上がると迫力ある滝がすぐに目の前に迫ってきた。
垂直に落下するのではなく急な斜面を激しい勢いで流れ落ちる。
幅も広く高さもあり(約80m)さすがに日本100名瀑に選ばれているだけのことはある。
こういう場所では広角レンズが威力を発揮する。
今までのカメラでは全貌が収まらなかったが、E−300の標準レンズは広角側が14mm(35mm換算で28mm)
なので自然景観を撮影するときにはうれしい。
たっぷりとマイナスイオンを浴びてから、来た道を戻り知床五湖を目指す。
途中の岩尾別川で橋の上から川を覗き込むと遡上してきた魚が見える。
大きさから言って鮭ではなく鱒のようだが、また知床の自然を感じて興奮する。

オシンコシンの滝

再び走り出すと急に雨が降ってきたので合羽を着込む。
今回の旅は北海道初日以外は合羽を着なかった日が無い。
旅立ち直前の週間予報では好天続きのはずだったのに・・・

知床五湖の駐車場への道は順番待ちの乗用車が長蛇の列を作っていた。
警備員の指示で二輪車はその横をスイスイと抜けて駐車場へ。

知床五湖はヒグマの出没地域で状況によっては一湖、二湖以外は立ち入り禁止になることも多いが、これだけの人では熊も逃げてしまうだろう。
それでも木の幹にくっきりと残る熊の爪あとを見ると恐怖感が走る。
一人にならないように熊避けの鈴を持っている人のそばを付いて行く


思ったよりも小さく湖というよりは沼だが静かな湖面は鏡のように空、木、知床連峰の山並みを映し出す。
晴れていればなお一層素晴らしかったろう。
湖を結ぶ遊歩道は森の中を通り抜けるが、木の幹、葉の緑、苔の濃緑、倒木の木肌、飽きることが無い。
途中でリスの姿も見かけたが残念ながらその姿を写真に収めることはできなかった。

五湖を見終わり駐車場に戻る遊歩道で人が立ち止まっている。
その視線の先でゴソゴソと音がしている。
音のする方を見てみると大きな雄のエゾシカが無心で木の葉を食べている。
その大きさと立派な角に少しビビりながら近づいてカメラを向けるが、鹿は気にする様子も無く夢中で葉をついばんでいる。
良い写真が撮れたと心躍らせ駐車場に戻った。
知床五湖

クリックすると大きな写真になります

カムイワッカ方面へ行くシャトルバスは今日が最後の運航日。
カムイワッカ湯の滝へは行くつもりだったが、シャトルバスへ乗り換える駐車場も大混雑で、それを見たら行く気が失せてしまった。
再び知床峠を越えてキャンプ場に戻り昼食を取った。
ちょっと休憩したあと半島の羅臼側を北上して終点の相泊まで行ってみよう。
キャンプ場を出るとすぐ横の茂みに牡鹿を発見。
朝見た雌鹿は警戒心が強く、近づくとさっと逃げたが、牡鹿は近づいてもこちらを一瞥するだけで悠然としたものだ。
やがて彼は悠々と山へ戻っていった。

羅臼港を過ぎて道道87号を北上する。
海岸に沿った右に国後島を、左には崖を見ながら続く道を走る。
小さな川が何本もあり、どの川も覗き込むと鮭・鱒の姿が見える。
河口には遡上を待つ魚の群れが待っている。
あちこち停まりながら、のんびりと先へと進む。
ドラマ「北の国から2002遺言」で有名になったセセキ温泉は潮が満ちてほとんど水没しており、開放時間も終わっていた。
相泊温泉も仮設小屋が撤去されて完全に露天風呂になっていたが、それでも7,8人が入浴していた。
水着の女性も入っていたが何人かの男性は裸で、撮影は見えてはいけないものが写るので自粛した。
やがて道は橋の先で行き止まり、ここから先は歩いてしか行けない。
すでに日本一周を終えたカップルチャリダーJimmy&Ayacoさんのサイト「コロンブスのたまご」の日記の中で
ここから知床岬まで歩いて行った冒険記があり(2004年9月10日から16日)何度も読み返してはワクワクした。
時間も無いし一人なので同じような冒険はできないが(チャンスがあれば行きたいけど)ここから出発したんだな
という場所を見るだけでもうれしい。

知床半島(羅臼側)
キャンプ場にも牡鹿が登場
牡鹿


相泊

命を終えた鮭

根室海峡

セセキの滝


セセキ温泉

ここで道は終わり

羅臼方面

道端に鹿

ここから来た道を引き返すが時間は16時を過ぎているので、あとはキャンプ場に戻るだけだ。
帰り道は崖や道端のあちこちに鹿の姿を見かける。
初めは嬉しかった鹿の姿も段々珍しくなくなって、あっまたか!というような気分。
なにしろ猫や犬を見るより鹿の姿の方が多いのだから。
羅臼の町のスーパー「杉本商店」で買出し。
鮭の切り身があればチャンチャン焼きを作ろうと思ったが、残念ながら切り身は無かったので刺身の盛り合わせを購入。
今晩のメニューは海鮮丼で、今夜も結構豪華版。
さすがに知床の夜は冷え込む。
食事を終えるとさっさと寝袋に潜り込む。
今夜は風も無く安心して眠れそうだ。
明日こそは船で知床岬を見られるだろう。

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