5月6日(金)

いよいよ北海道最終日。
夕方までに苫小牧港に到着すれば良いので、ほぼ一日走れるがどこに行こうか。
二十間道路の桜並木は予定に入っていたのだが、残念ながら今年は開花が遅く行く意味がなくなってしまった。
襟裳岬も行っておきたい所だが、ちょっと距離的に忙し過ぎそうだ。
結局無理の無いところで支笏湖周辺を走り、千歳を経て苫小牧に出ることにした。

朝食は昨日の残りの肉・野菜を焼いてご飯をかき込む。
キャンプをしていて困るのがゴミの処理だ。
最近はゴミ持ち帰りのキャンプ場がほとんどで、そのこと自体はもっともな事だと思うが、1,2日の旅なら
いざしらず、長期間の旅となるとゴミを家まで持って帰るわけにもいかず、その処理は悩ましいところだ。
結局、コンビニで買い物をした時にゴミ箱にそっと入れてくるのだけど、どうも罪悪感に苛まれる。
有料でかまわないからゴミを捨てられる施設が各所にあると助かるのだが。
そんな訳で、食品を入れるトレーはハサミで細かく切り刻んで、空き缶は小さくつぶして等とゴミ処理をしていたら
結構時間がかかってしまった。
ガスのカートリッジは穴を開けて、つぶした上結局全部家に持ち帰ったが、何ヶ月もの長期旅行の際にはそうも
いかない。
コンロもガソリン用が良いのだろうか?
これは要検討だろう。

さて江別市から北広島・恵庭を抜けて千歳から支笏湖に向かう道道「支笏湖公園線」に入る。
千歳川沿いの道はゆるやかに標高を上げて、周囲の景色も森林へと姿を変える。
この時期、北海道は山菜取りの盛期なようで、各所で山菜取りの人が止めている車を見かける。
各所で見かけたが、昨年の台風の影響で森林は倒木が非常に多い。
バイクを停めてそんな景色を撮っていると、数台のバイクが対向車線からやってきたので、写真を撮りながら
手を上げて挨拶を送る。
すれ違うライダーは皆、気持ちよく挨拶を返してくれる。
北海道は本当にすれ違い時のライダー同士の挨拶が素直にできる。
一人旅ではあるが、この挨拶に何度と無く励まされ、言葉は交わさなくても旅人同士の連帯感を感じた。
初めて長期ツーリングに行った能登半島で、すれ違うライダーと何度も交わしたピースサインの楽しさが
よみがえる。
何十年たっても良い習慣は大切にしていきたいものだ。

やがて周りの木々が開け支笏湖に到着。
観光名所ではあるが洞爺湖に比べると静かな雰囲気で、静かな湖面を見ていると心が落ち着いてくる。
田沢湖に次ぐ水深があり、冬でも凍結しない湖としては最北である。
湖畔からはその水の深さは窺い知れないが、中央の湖面の色は深みを帯びた色をしている。
観光船の発着所近くでしばし休憩すると、湖岸を巡る国道453号を進み次の目的地のオコタンペ湖に向かう。
オコタンペ湖は東雲湖、オンネトーと並ぶ北海道三大秘湖の一つで、その秘湖という響きだけで、
もうわくわくしてしまう。

支笏湖からまたまた標高を上げ、国道から分岐する道道「支笏湖線」に入ると除雪はされているものの、
道の両脇はまだ雪が高く積もっている。
道は恵庭岳のふもとをぐるりと回る形で再び支笏湖の湖畔に出る事ができ、その途中にオコタンペ湖がある。
見上げると真っ青な空に白く薄く流れる雲が美しい。
やがて木の間から谷の下にわずかに湖面がのぞいている場所があり、ライダーや観光客が数人眺めていた。
走りながら眺め、もっと先に行けば湖水に近づくのかと思いそのまま進んだが、道は一気に下りになると
湖からは却って遠ざかってしまうようだ。
この先雪崩注意の看板もあり、とりあえず引き返して先ほどの場所から湖を眺めることにした。

道路脇にある展望台は1m以上の雪に覆われていたが、かえって高い場所から見ることができて好都合
だったのかもしれない。
湖面はそのほとんどが凍結しており、そこだけはまだ完全に冬の景色だった。
氷が溶けてその水の色がどんなものなのか見てみたかったが、まずは三大秘湖のひとつを見ることができた。
こうなると残りの二つもぜひ見ておきたいものだ。

オコタンペ湖をあとに来た道を戻り、国道を札幌方面に進み途中から恵庭に向かう道道117号に入る。
この道は走っていて非常に楽しい道だった。
適度なコーナーと適度なアップダウン、そして周囲の景観。
すれ違う車もほとんど無くマイペースで走るうちにウルマナイ川にかかる白扇の滝に到着。
高さ15m、幅18mとさほど大きな滝では無いが、雪解けで水量も多くなかなか迫力のある滝だった。
この近くにはあと二つ小さな滝があったが、そちらはどうというものではなかった。
道道支笏湖公園線でライダーとすれ違う
もちろんサインを交し合った
支笏湖に到着
静かな佇まいの湖面に恵庭岳が美しい
対岸の風不死岳 オコタンペ湖へ向かう道で
北海道3大秘湖のひとつ
オコタンペ湖
道の両脇はまだ多くの雪が残る
オコタンペ湖は凍結していた 白扇の滝

漁川ダムでできた「えにわ湖」を過ぎると徐々に景観も開け、ゴルフ場や牧場が点在するのどかな道になり
やがて道の両側に広大な自衛隊の演習場が続く。
恵庭から国道36号を千歳に向かう。
ここは朝一度通った道だ。
キリンビールやサッポロビールの工場があり、素通りするのがなんとももったいない。

千歳市内に戻ると「サケのふるさと館」に行くことにした。
これから苫小牧までさして観光する場所も無かったので、そこを見てからウトナイ湖に寄ってフェリーの時間に
ちょうど良い計算になる。
「サケのふるさと館」はちょっと入場料が高かったが、水族館の類は好きだし千歳川の川の中がガラス越しに
見ることができるというのに引かれて入ってみた。
ちょうど大水槽で餌付けの時間だったので係員の説明を聞きながら、餌に飛びつく色々な魚を眺めたが、
淡水魚でもオキアミが大好物だというのには驚いた。
絶対に自然界では口にしたことが無いはずのオキアミが魚を魅了するとは、オキアミの万能餌ぶりを改めて
再認識した。
もっとも降海型のマス類でチリ沖とかで獲れる魚はオキアミを食べたことはあるのかもしれないが・・・
またここはサケ・マスの仲間以外になぜかチョウザメも水槽に入っていた。

期待した千歳川の中を見られる水中施設は、時期的なものもありオイカワやヤマベなどの小魚しかおらず
ちょっと期待はずれだったが、サケが遡上してきたときはさぞ壮観であろうことは想できた。
いつかそんな時期にまた訪れてみたいものだ。

水族館を出たときには午後2時近くになっていた。
そういえばまだ昼飯を食べていない。
水族館の隣のみやげ物売り場にサケコロッケが売っていたので、それを二つ買って駐車場で食べて北海道
最後の昼食は終わり。

新千歳空港の脇を通りR36で苫小牧に向かうと、左側にウトナイ湖サンクチャアリの案内板が見えてきた。
広々とした原野の中にある湖は日本で初めて野鳥の聖域に指定された場所だが、ここも時期が悪かったか
ほとんど鳥の姿は見えず、ただ水面が広がるばかりだった。
ネイチャーセンターに備え付けの望遠鏡で湖をあちこち見てみたが、やはり野鳥の姿はほとんど無し。
それでも一羽の鳥が美しい姿を見せたので写真に収め、また写真は間に合わなかったが、窓の下をリスが
かわいい姿見せて通り過ぎるのは見ることができた。
餌に群がる魚たち ガラスの向こうは千歳川
期待した川の中は小魚だけ この川の中が観察できる
唯一見つけた鳥、多分アカアシシギ ただ湖面が広がるばかり
時間は余裕があるはずだったのに、気がつけばもうフェリー乗り場に向かわなくてはならない時間だ。
まだ何も土産を買っていないので、苫小牧の街中で土産物屋を見つけて適当に買おうと思っていたが
国道沿いにはそれらしき店がなく、そうこうしているうちに時間が迫ってきた。
仕方が無いのでフェリー乗り場に向かい、乗船手続きを済ませるとフェリーターミナルの売店で慌しく買い物を
済ませた。
長いようであっという間に過ぎてしまった初めての北海道ツーリング。
天候に恵まれトラブルも無く、本当に楽しい一週間だった。
あとは船内でのんびりするだけ。
日没には間がある苫小牧港の船上で、多くの感動をくれた北の大地を眺めながら、早くも次回の上陸プランを
頭の中で考えていた。
先に出航する船を見送る こちらは名古屋に向かうフェリー

本日の走行距離 165km


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