1月4日(雪・曇り・雪)
空が明るくなり外に出るとチラチラと雪が舞っている。
朝飯を食べ撤収を始めるころになると隣のグランドに中学生が集まりサッカーの試合が始まった。
「おっいいな」などとサッカー少年達の写真を撮ったりして余裕で出発準備。


バイクの奥の木の下が夕べのねぐら 早朝からがんばるサッカー少年達


公園の出口に向かう時に、突然雪が激しく降ってきた。
雪で遮られた視界、そして効かないブレーキが悲劇を招き寄せた。
公園の出口を塞ぐようにポールの間に横たわるチェーンに、直前まで気がつかなかったのだ。
気がついて慌てて急ブレーキをかけたが、ズルズルとしか止まらない。
ブレーキは荷物と重量級のライダーを乗せた車体を、ピタリと止めるだけの制動力はすでに失っていた。

ガシャーン!!

転倒こそ免れたものの、激しい音とともにアヴェニスのカウルは大破し、ヘッドライトは路上に
転がり落ちていた。
瞬間頭の中が真っ白になった。
9月の津軽半島でのトラブルがフラッシュバックした。
またバイクを置いて帰らなければならないのだろうか?
しかも容易に来れる場所とは言えない四国の地に。



絶望的な気持ちにしばし座り込んでしまったが、気を取り直してバイクの状態を見てみる事にした。
ヘッドライトASSYは配線は繋がっていたので幸い点灯はする。
壊れたカウルもガムテープで何とか応急処置はできた。
何とも悲惨な状況だがとりあえず自走はできそうだ。
ブレーキトラブルに加えての新たなトラブルに見舞われ、これからのテーマはとにかく無事帰還。
あと2日間で何とか高松を経由して徳島港に到着しなくては。


このチェーンが見えなかった 応急手術後の悲惨な姿


まずは本日の宿泊地の高松東横インに到着することが目標。
こんな状態ではもちろん高速など使えるはずも無いので、国道11号を小松・西条・新居浜・伊予三島・川之江と
40km/Hペースで走り、愛媛県を抜け、香川県に入ってすぐの道の駅「とよはま」で昼食のうどん定食を食べ
一休みした。
写真を撮る気力も薄れ昨日からほとんど写真を撮っていない。
道の駅は瀬戸内海が目の前で、足湯の施設もあったりして、なかなか良いところだが気持ちは沈んだままだ。
本来なら海岸沿のルートを取りたいところだが、距離が伸びるのでこのまま国道11号を進む事にする。


道の駅のレストランから瀬戸内海を望む 足湯


観音寺・善通寺・琴平と観光する場所はいろいろとあるが全て素通り。
丸亀城だけちょっと寄り道して眺め、坂出・国分寺から高松市内に入ったのは3時ころ。
高松は以前観光で来た事があるので多少は土地勘がある。
早々に東横インにチェックインして荷物を降ろす。



丸亀城

部屋で一休みして少し気持ちが上向いてきたので、四国本土最北端の竹居岬だけは
行ってみる事にした。
前回レンタカーで走った対岸の屋島を眺めながら、時計周りに、観光客も訪れる事も無いような
竹居岬を訪れ、ただ移動するだけだった一日に唯一のアクセントを付けた。


訪れた当時は本当に観光客などいない庵治町だったが、映画「世界の中心で愛を叫ぶ」の
ロケ地になって随分有名になったようだ。


岬に立つモニュメント 四国本土最北端の看板
竹居観音寺岩窟 セカチューのロケ地になった島(多分)


ホテルに戻るころにはすでに日は暮れ始めていた。
高松の市街地をぶらぶらと散策しながら、初めて讃岐うどんを食べて感激した「棒」に行ってみた。
讃岐うどんの店にしては値段が高いので、通の人には笑われるのかもしれないが、数年前に来た時に
「ぶっ掛け冷やし」を頼み、その麺の腰の強さから来る何とも言えない歯ごたえと美味さに感激した。
それまで”うどんよりはそば”派だった自分の認識を覆す体験だったのだ。
今回は暖かいうどんを食べて十分満足したが、是非セルフのうどん屋も体験したく、もう1軒に立ち寄った。
初めてのセルフはついつい色々とトッピングを入れてしまい、500円近くなってしまったが、讃岐の町での
ささやかな「うどん三昧」の夜だった。

いよいよ明日は徳島港からフェリーに乗って一路東京を目指す。
高松から徳島までの道はクルマで走った事があるので、勝手も判っているし時間も読める。
2時間もあれば着く距離だが心配なのは天気。
ホテルへ戻る時にも空からは白いものが落ちていた。
TVの天気予報では今夜から明日にかけて雪が降り続き、しかも積雪の可能性も高いという。
ブレーキが利かないバイクで積雪した道を行く事になったら・・・
考えたくも無い恐怖を振りほどき、久々のベッドで眠りに就いた。


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